にんじん食堂うずまさ

「にんじん食堂うずまさ」は、京都の太秦(うずまさ)にある珍しい沖縄料理のお店です。

電話…075-864-2690

住所…〒616-8167 京都市右京区太秦多藪町9

沖縄料理事典

***
「沖縄料理事典」は少しずつ作成し、また、更新(補充・訂正など)していきます。

【あ】【い】【う】【え】【お】
【か】【き】【く】【け】【こ】
【さ】【し】【す】【せ】【そ】
【た】【ち】【つ】【て】【と】
【な】【に】【ぬ】【ね】【の】
【は】【ひ】【ふ】【へ】【ほ】
【ま】【み】【む】【め】【も】
【や】   【ゆ】   【よ】
【ら】【り】【る】【れ】【ろ】
【わ】
【ん】
【島】【汁】

***

【ん】
んぎゃないえーむん(ンギャナイエームン)……ンギャナはニガナで、イエームンは和えもの。ニガナの和えもの。⇒んじゃなすーねー
んじゃな(ンジャナ)……ニガナ。苦いので「苦菜」。和名は「ほそばわだん」と言う。ンジャナスーネー(白和え)や味噌和えにしたり、いかすみ汁やシンジムンにも入れる。炒めてかつおぶしをふりかけてもおいしい。
んじゃなすーねー(ンジャナスーネー)……ンジャナ(ニガナ)のスーネー(白和え)。「つくり方=(1)十分に水切りした島豆腐(または木綿豆腐)をつぶし、塩、好みで炒ったみそ、ジーマーミなどを加えて混ぜる。(2)きれいに洗ったンジャナを生のまま細く刻む。(3)和える。」ジーマーミは普通はピーナツバターを用いるが、甘いので、にんじん食堂では市販のピーナツ粒にしている。また、好みでマヨネーズを加えてもよい。おいしく作る秘訣は、何より新鮮なンジャナと島豆腐を水切りして使うこと。
んじゃなばー(ンジャナバー)……⇒んじゃな。
んすなばー(ンスナバー)……ふだんそう(不断草)。とうぢしゃとも言う。冬野菜の代表で、アクが強いけれど、そのエグ味が取り柄でもある。ンブシー、スーネー(白和え、ウサチとも言う)、ゴマ和えなどにするとおいしい。
んすなばーうさち(ンスナバーウサチ)……⇒んすなばーすーねー。
んすなばーすーねー(ンスナバースーネー)……ンスナバー(ふだんそう)の白和え。かすかなエグ味が引き立つ。「つくり方=(1)ンスナバーは軸、葉の順にゆがく。(2)アクを抜くために水にさらしておく。(3)後は、ンジャナス―ネ―を参照。」
んすなばーんぶしー(ンスナバーンブシー)……ンスナバー(ふだんそう)の味噌炒め煮。「つくり方=(1)(2)は、ンスナバ―ス―ネ―と同様。(3)なべで適当な大きさに切ったンスナバーを炒める。(4)ゆでた豚肉(三枚肉など)を切って加えて炒める。(5)豚出汁(豚肉のゆで汁)を入れて煮る。(6)味噌を溶き入れて煮込む。(7)豆腐をちぎって加えて、しばらく弱火で煮込み、味をしみ込ませる。」
んなしる(ンナ汁)……実の入っていない汁。
んぶさー(ンブサー)……⇒んぶしー。
んぶしー(ンブシー)……野菜が主体の味噌炒め煮。豚肉や豆腐を入れることが多い。野菜や肉を炒めて、豚出汁(豚肉のゆで汁)を加え、味噌味で煮込む。ナーベーラーンブシーが有名だが、シブイ、ゴーヤー、デークニ、ンスナバーなどもよく使われる。ンブス、ンブサー、ウブサーとも言う。⇒『にんじん食堂の沖縄ごはん』p32~
んぶす(ンブス)……⇒んぶしー。
んむ(ンム)……いも。さつまいも。うむともいう。
んむいりちゃー(ンムイリチャー)……いもを煮てから炒めたもの。
んむかし(ンムカシ)……すったいもからンムクジを取った残り。いもの粕(カシ)だが、ンムクジ同様に用途が広い。
んむかしー(ンムカシー)……いも汁。いもがゆ。皮をむいたいもを輪切りにして、野菜と一緒に水で煮て味噌で味つけしたもの。
んむかしいりちゃー(ンムカシイリチャー)……ンムカシティーパンパンの薄切りを炒めて、味噌で味をつけたもの。
んむかしてぃーぱんぱん(ンムカシティーパンパン)……ンムカシを粉にして、水と塩で練って、かまぼこ型にして蒸したもの。
んむかしなんとう(ンムカシナントウ)……んむくじなんとうのンムクジのかわりにンムカシを使ったもの。
んむかしめー(ンムカシメー)……いもの粕の飯。さといも、大根などの野菜を煮て、粉末のンムカシを加えて、味噌で味をつける。
んむぎあいず(ンムギあいず)……いもの葉の和えもの。
んむくじ(ンムクジ)……いものくず(葛)。さつまいものでんぷんで、保存がきき、多くの料理に活用される。
んむくじあんだーぎー(ンムクジアンダーギー)……「ンム」の「クジ」の「アンダ」「アギー」。ンムとンムクジをこねて団子にして、油(アンダ)で揚げたお菓子。冷めるとおいしくなくなるので、アチコーコーで食べる。
んむくじてぃんぷら(ンムクジてぃんぷら)……⇒んむくじあんだーぎー。
んむくじなんとう(ンムクジナントウ)……ンムクジ、ジーマーミ、ヒハツ、味噌、黒糖などを混ぜて、月桃の葉に乗せて形を整え蒸したもち(のようなもの)。今ではンムクジではなく、もち粉を使うナントウが多い。ナントウはナットゥンスーなどとも言う。ンムカシを使えば、ンムカシナントウになる。
んむくじぷっとぅるー(ンムクジプットゥルー)……ンム(いも)クジ(くず=でんぷん)を油炒めにしたもので、プルンプルンしている不思議な食べもので、その名称も不思議ナンバーワンといっていいかも。「つくり方はごく簡単=(1)市販のンムクジを水に溶き、塩で味付けする。(2)フライパンなどに油をひき、しゃもじでかき混ぜながら弱火でゆっくり焼く。」味噌で味つけしてもいいし、ニラを加えてもいい。どこか東京の「もんじゃ焼き」に通じるものがある。つまり、いくら焼いてもゲル状のままで固まらない。ソーミンタシヤーもソーミンプットゥルーということがあるので、でんぷんが加熱されてくっつき合った状態をさすのかも知れない。ほかにスウティチプットゥルー(蘇鉄)もある。なお、にんじん食堂ではンムクジをだし汁で溶いている。最初の音は「PU」だが、「BU」でブットゥルーとも言う。
んむじる(ンム汁)……さつまいもや山いもを入れた味噌汁。いもが溶けるように、よく煮込む。
んむてぃんぷら(ンムてぃんぷら)……いもを揚げたもの。小麦粉をつけて揚げたり、素揚げにする。
んむにー(ンムニー)……いも煮、またはいも練り。ゆでたいもをつぶして練りあげたもの。にんじん食堂では紅いもに塩、砂糖、はちみつを加えてつくる。仕上げにシークヮーサーを垂らして混ぜると、紅いもの色素が酸の働きで青紫色から鮮やかな赤紫色に変わる。
んむめー(ンムメー)……いもめし(いも飯)。いもの入ったごはんではなく、わずかに米の入ったいものごはん。
んむもち(ンムもち)……つぶしたいもの入ったもち。
んむゆ(ンムゆ)……いもがゆ。皮をむいたいもをどろどろになるまで煮込む。

***
【島】
「島」で始まる沖縄の食材
しまおくら(島オクラ)……丸くて細長いのが特徴です。
しまこしょう(島胡椒)……ヒハツモドキほか多数の名前があります。
しまごぼう(島牛蒡)……細くて味わいがありますが、けっこう高いのです。
しまー(島)……泡盛。シマー小(シマーグヮー)とも言います。
しまぎゅう(島牛)……県産牛のことではなく、泡盛のミルク割りです。
しまざき(島酒)……泡盛。アームイ。カラザキ。
しましょうが(島生姜)……よくわかりません。後で調べて書き加える予定です。
しまだいこん(島大根)……大きくて丸くて、カブのような味わいでした。
しまだこ(縞蛸)……これは「島」ではありません。もともとは縞模様のあるタコ。「島だこ」は誤用ですが、県産のタコを島だこと呼ぶことも。しかし「アフリカ産島だこ」がよく売られています。
しまどうふ(島豆腐)……沖縄の豆腐。ヤマトゥの豆腐は大豆を煮てから絞りますが、沖縄では生のまま絞って豆乳を煮て固める「生搾り法」でつくられます。スーパーの安売りでは1丁630グラムで88円で売られています。冷却しないでアチコーコーなものもあります。
しまなー(島菜)……からしな。漬けものの少ない沖縄で、このシマナーだけは例外的にほとんど塩漬けのチキナー(漬け菜)にして、チキナーチャンプルーに用いられます
しまにんじん(島人参)……チデークニ。「チ」は「血」ではなく「黄」。黄にんじんとも言います。
しまにんにく(島大蒜)……小粒で薄皮がピンク色です。黒糖漬けなどにします。
しままーす(島マース)……塩。沖縄では専売塩を使いませんでした。いろいろな種類の島マースが製造・販売されていますが、一番安い塩で十分です。
しまとうがらし(島唐辛子)……小さくて短くてかわいい。ほとんど「コーレーグース」にしているみたいです。
しまばなな(島バナナ)……小ぶりです。高いです。黄色い状態では食べられません。黒くなりかけて、ぶら下げたものに虫がたかるようになると甘くて酸っぱくて。
しまらっきょう(島辣韮)……浅漬けにします。細長いものが多いですが、種類はいろいろあります。
*このほかにもたくさんありそうです。

***
【汁】
沖縄の「お汁」ワールド
沖縄の家庭での代表的なおかずは「チャンプルー」、「ンブシー」、「イリチー」の三大料理でしょう。「チャンプルー」は「豆腐と野菜を油で炒めて、塩・醤油で味つけした料理」で、豚肉や卵が加わると上等になります。一番たくさん入る野菜の名前が頭につきます。ニガウリが多く入っていれば「ゴーヤーチャンプルー」、モヤシなら「マーミナチャンプルー」といったぐあいです。
「ンブシー」は「野菜を味噌と豚だしでじっくり煮こんだ料理」で、豚肉や豆腐を加えると上等になります。煮汁が出る野菜が適当です。ヘチマの「ナーベーラーンブシー」、トウガンの「シブインブシー」などです。
「イリチー」(「イリチャー」)は「根菜類や乾物を炒めて、だし汁で煮含める料理」です。豚肉が加わると上等になります。昆布の「クーブイリチー」、ゴボウの「グンボーイリチー」(「グイクイリチー」)などです。
でも、この三種のほかに「具だくさんのお汁」も沖縄ならではの料理でしょう。この「お汁」は、それだけで立派なおかずになります。食堂でチャンプルーを注文すると、ごはんと汁がついた一汁一菜一飯が出てきますが、お汁料理では一汁一飯のみのこともあります。大きな魚が一匹入った「魚のお汁」、豚あばら骨の「ソーキブニのお汁」、白味噌仕立ての「イナムドゥチ」、豚レバーとニンジンの「チムシンジ」、真っ黒な「イカスミ汁」などはほんとうに美味で、それだけでごはんが食べられます。
沖縄では「お汁」と言うときは「おしる」と濁らずに発音しますが、「○○汁」と言うときは「じる」と濁って発音します。「魚のおしる」と「魚じる」、「うしぬしる」と「ぎゅうじる」、「いかすみのおしる」と「いかすみじる」「すみいかじる」などです。
「アーサのお汁(おしる)」または「アーサ汁(じる)」
おもしろいのは「みそしる」と「みそじる」の違いでしょう。食堂などではよく「味噌汁500円」などという札が貼ってあります。「ずいぶん高いなー」と思った方もいることでしょう。でも、沖縄ではこれは「みそじる定食」のこと。沖縄の「みそじる」はヤマトゥの「みそしる」とは全然違うもので超具だくさん。入れ物は大きな丼かラーメン丼が似合います。最も安くてボリュームのある定食です。
また、「沖縄のお汁」には独特の固有名詞が付けられたものがたくさんあります。上にあげた「イナムドゥチ」「チムシンジ」のほか「クーリジシ」「クーニー」「ウーニー」「ヌンクウ」「鹿ムドゥチ」「ふくさ汁」「イラブーシンジ」などです。「ゆし豆腐」「ソーキブニ」などは食材としてのゆし豆腐、ソーキをさす場合と「お汁」をさす場合とがあります。
なんとも奥の深い沖縄の「お汁」ワールドをいっしょに旅してみませんか。
mixiの「美しい沖縄料理教室」より

facebook(フェイスブック)ノートで「沖縄料理事典」がご覧になれます。

********************************************************************************


●このページのいちばん上にもどる

●「トップページ」へもどる


沖縄料理事典

コラム♪おもしろ沖縄料理事典「ドゥルワカシー」

「ドゥルワカシー」
沖縄料理の「名前」には、特徴があります。じつは、固有名詞を使ったものがとても多いのです。
料理の名前は普通、「食材」・「料理法」・「味付け」などを組み合わせたものになりますが、沖縄料理では、みんなが知っている固有名詞がつくことがあります。その意味や由来などを楽しみましょう。
dorowakasi-126kb
「ドゥルワカシー」は、「ターンム」(田いも)とその葉柄である「ムジ」(ずいき)を主役に、豚三枚肉・干ししいたけ・カステラ*などの材料を細かく刻み、さらに豚出汁を加えて煮込みながら、つぶして練っていくという不思議な調理法の料理です。では、その名前の由来は?
フツフツと湯気をあげながら、グツグツと煮える様子は、まさに「泥が沸いている」感じです。納得。ちょっと汚い名前と見かけとは違い、その味わいは深淵で濃厚、かつ清廉でさえあるのです。お祝いのときに欠かせない大事な料理です。
*「カステラ」とは「カステラかまぼこ」のこと。

コラム♪おもしろ沖縄料理 「ンムクジプットゥルー」

121nmukuji-92kb
「ンムクジプットゥルー」って知ってますか?
魔法使いを呼び出す呪文ではありません。ちゃんとした料理の名前です。なんだかわけがわからない名前なのに、一度覚えたら絶対忘れられない不思議な名前で、料理の姿形もそれに負けないくらい不思議。
沖縄旅行大好きナイチャーの必読雑誌『沖縄・R島情報』で、かつてこのンムクジプットゥルーは「沖縄料理・ネーミング大賞」に輝いたほどです。「ドゥルワカシー」や「カタハランブー」なども太刀打ちできない名前ではないでしょうか。で、このンムクジプットゥルーを知っている人は偉いから三重丸。ンムクジプットゥルーを食べたことがある人は、なお偉いから花丸をあげましょう。でも、「じゃぁ、ンムクジプットゥルーつくれる?」と問われたら、手を挙げられる人はほとんどいないはず。あの形状を出すには、よほど修業を積まないとダメさーと思いきや、じつは「超カンタン」なのです。その証拠に、台風時にはソーメンチャンプルーやヒラヤチーと並ぶ、ファストな手づくりフードだったのです。
ところで、名前の由来は?というと、「ンム」は「おいも」のことです。「クジ」は「くず」で、これは「屑」じゃなくて「葛」のことです。つまり、「ンムクジ」は「さつまいものデンプン」というわけ。片栗粉の沖縄版ですね。「プットゥルー」はそのデンプンが加熱されて、ゲル状にプルンプットゥルーンと半かたまりになった状態を指すようですが、定かではありません。ちなみに、ソーメンチャンプルー(正しくは「ソーミンタシヤー」)のことも「ソーミンプットゥルー」と呼ぶことがあります。また。「プ(PU)ットゥルー」は「ブ(BU)ットゥルー」ともいいます(PUとBUの違いです)。食べさせてくれるお店はなかなか見つからないだはず。だから、自分でつくってみましょうね。
ンムクジをンムからつくるのはたいへんです。だから、市販の「いもくず」を買い求めます。あとは、これを水に溶いて、塩気を調えて、フライパンで焼くだけです。でも、これだけではちょっと味気ないので、水のかわりに「だし汁」を使い、ニラを加えてみました。好みで、冷蔵庫の余りものを入れてもけっこうです。ツナやカステラなどが入れば上等。玉子を入れる人もいますが、これは邪道のような気がします。
●材料……ンムクジ(いもくず):1カップ だし汁(水でもよい):2~4カップ 塩・しょうゆ(みそでもよい):適量 ニラ:好みの量 油:少々
その他(ありあわせのもの)
(1)ンムクジは粉ではなく、粒々になっています。水で簡単に溶けますから、網やザルでふるう必要はありません。
(2)ニラを水でよく洗い、2~3cmくらいの長さに切ります。
(3)だし汁または水に塩気を付けます。だし汁の量はカップで、ンムクジの2~4倍ですが、これは好みで、もっと多くてもかまいません。ただし、塩だけはテーゲーだと、とんでもないことになります。塩分は水分の0.8%を目安にすると失敗がありません。水が2カップなら、
200(㏄=g)×2×0・008=3.2(g)という計算です。塩分約15%のしょうゆは、小さじ1杯(5cc)が塩分約1gに相当しますから、まず小さなティースプーンで3杯入れて、実際に味を見てから、調整します。みそは塩分が10%くらいですから、小さじで5杯ほどです。
(4)ンムクジとニラを入れて、よく混ぜます。ンムクジはすぐに沈むので、フライパンに流すときに、また混ぜてください。
(5)フライパンを加熱し、油をひき、ンムクジの汁を流し込みます。かき混ぜながら焼きます。いくら焼いても、かたまらないのが不思議ですが、白っぽい汁が半透明なプルプルに変化してきて、いかにもプットゥルーになったらできあがり。
(6)お皿に移して、めしあがれ。ハシでも食べられます。アチコーコーがおいしいですよ。水分を多めにしてつくったときは、スプーンなどでめしあがれ。