にんじん食堂うずまさ

「にんじん食堂うずまさ」は、京都の太秦(うずまさ)にある珍しい沖縄料理のお店です。

電話…075-864-2690

住所…〒616-8167 京都市右京区太秦多藪町9

『にんじん食堂の沖縄ごはん』


『にんじん食堂の 沖縄ごはん』

――健康長寿の簡単レシピ――

2004年9月発売・A5判・128ページ・オールカラー 
発行=学研(学習研究社)・著者=実方藤男・写真=垂見健吾  定価=1890円(税込)

●「にんじん食堂へいらっしゃいませ」
パーティー料理 七彩重箱 菜飯弁当 おにぎり /  沖縄料理はおいしくてとてもきれいです  沖縄料理はだれにでも簡単に作れます  沖縄料理で健康長寿をめざしましょう
七彩重箱(なないろじゅうばこ)
お正月のおせちや行事用に詰めた重詰め料理(重箱)です。右上から外側を時計回りに、田いものから揚げ、うじら豆腐、ウラチキチヌク、ミミガー煮こごり、ミヌダル、島にんじんとごぼうの油揚げ巻き、根菜のうま煮、こんにゃく、昆布の煮もの、車海老のうま煮、内側は、スーチキジシ、ゴーヤー焼きかまぼこ、ドゥルワカシーのから揚げ、銭麩イリチー、紅いもようかん。
●第1章「一汁三菜の沖縄ごはんのくふう」
沖縄の食堂でチャンプルーを注文すると、大きな皿のチャンプルー、ごはん、汁が出てきます。沖縄の食事は料理が主菜のみの一汁一菜がほとんどですが、栄養素のバランスを考えるなら一汁三菜を用意したいものです。組み合わせのひとくふうを楽しみながらつくりましょう。
「イリチー」でごはん
「イリチー」は根菜類や乾物を炒めて、だし汁で煮含めるスローフードです。豚肉を加えれば立派な主菜になり、多めにつくっておけば常備菜の役割も果たしてくれて便利です。
 七色クーブイリチー 島豆腐の中華サラダ風  オクラのおひたし ナーベーラーのみそ汁  
ふ~イリチー 沖縄の長い車麩に卵をからめて焼きました。麩を水でもどすと焼いてもいつまでも水っぽくなり、おいしくできません。必ず塩か醤油で味をつけた出汁(だし)でもどしましょう。ツナ、キャベツ、にら、赤ピーマンをツナの油でしんなりするまで炒めて、卵で包むように形を整え、両面を焼きました。
「チャンプルー」でごはん
「チャンプルー」は、ゴチャゴチャまぜるという意味ではありません。豆腐と季節の野菜を炒め、塩かしょうゆで味つけした料理で、主役の野菜の名前が頭につきます。
 ゴーヤーチャンプルー 豚三枚肉の煮しめ モーウイときゅうりの梅肉あえ アーサーのお汁
 家常豆腐(中華風チャンプルー)
「ンブシー」でごはん
「ンブシー」は、野菜をみそと豚だしでじっくり煮込んだ料理で、豚肉や豆腐を加えると栄養素のバランスもよくなります。煮くずれしそうな直前が、味がしみてやわらかく、おいしいです。
 五目ンブシー 紅いもポテトサラダ スヌイの酢のもの ゆし豆腐 / ナーベーラーンブシー
「具だくさんのお汁でごはん
沖縄の汁ものは、肉、魚、豆腐、野菜などの具の種類と量が豊富なものが多いです。汁と煮ものの両方を兼ねる立派な主菜で、栄養素のバランスもよく、濃厚な味わいです。
 チムシンジ マーミナタシヤー ゴーヤー納豆 大根ウサチ / イナムドゥチ いかすみのお汁 みそじる
 
「沖縄風洋食」でごはん
沖縄には沖縄料理のほか、和食や中華料理の影響を受けたものもあり、洋食ものも増えています。健康によい沖縄の食材でアレンジしたいものです。

●主菜…田いもハンバーグ ●副菜…ゴーヤー卵焼き/青菜とうじら豆腐の煮びたし ●お汁…ハンダマのスープ
 / 沖縄には「ターンム」という水田栽培のいもがあり、蒸して市販されています。から揚げ、でぃんがく(きんとん)、ドゥルワカシーなどに料理しますが、水分量が少ない田いもの特性をいかした、ほっこり感のあるハンバーグも定番料理に加えたいものです。卵焼きは切った面にゴーヤーの形と緑色がきれいに出るようにつくります。青菜の相手は厚揚げや油揚げでもけっこうです。ハンダマ(金時草)は不思議な紫色が洋食風の献立を引き立ててくれます。
「沖縄風カレー」でごはん
 島野菜オムカレー せん切りのきんぴら ゴーヤージュース
 島野菜カレーすば
◆料理を引き立てる沖縄のごはん
  
 一汁三菜は正しくは「一汁三菜一膳」です。ごはんも立派な主役で、料理を引き立てるには、おいしいごはんが欠かせません。最近の人気は「黒米ごはん」です。また、「きびごはん」もよく食べます。「ごはん料理」としては「ジューシー」も沖縄ならではの味わいです。かたい「クファジューシー」は炊き込みご飯。やわらかい「ヤファラジューシー」は雑炊(おじや)で、「ボロボロジューシー」ともいいます。写真・右は「フーチバージューシー」(よもぎ入り雑炊)です。
●第2章「健康長寿の琉球伝統料理をいただく」
にんじん食堂のくがに定食
琉球伝統料理の盛り合わせ
 ゴーヤーおさしみ ミヌダル ウラチキチヌク うじら豆腐 ゴーヤー焼きかまぼこ
 紅いもンムニーのうっちんポーポー巻き 紅いもようかん ミミガー煮こごり
 モーイ豆腐 田いもから揚げ 島らっきょう浅漬け
  
ミヌダル 豚ロース肉の薄切りを黒ごまのたれに漬けて蒸した料理ですが、にんじん食堂では若鶏のささ身を使った「鶏ささミヌダル」です。脂質が少なく冷めてもおいしく、黒と白の対比もきれいです。
ゴーヤー焼きかまぼこ にんじん食堂のオリジナル料理です。かまぼこが黄色いのは沖縄特産のうっちん(うこん、ターメリック)を混ぜてあるから。苦味が凝縮された一品です。
◆にんじん食堂のくがに定食とは…
 ウサンミ ラフテー なかみのお吸いもの  ナーベーラーとハンダマの酢みそかけ
 クーブイリチー グリーンクーブ     ンジャナスーネー スクガラス豆腐 冷やしシブイ
 煮もの 田いもでぃんがく フィサガーの野菜スープ煮 かぼワカシー 豆腐よう
 
   
 ウサンミ 「ウサンミ」(御三味)は海や山からの贈りものを感謝していただく料理です。沖縄近海の新鮮な魚を刺身で、豚肉はスーチキで、卵は銭麩イリチーにしました。輝くようなクビレツタ(海ぶどう)をあしらえば、ちょっとぜいたくな一皿になります。
ラフテー
 見た目もあでやかな円熟した女性を思わせる沖縄を代表する豚肉料理です。豚三枚肉をただゆでて、ただ煮るだけなのに、そのスローな時間だけがつくり出す深みのある味わいが忘れられません。
ナーベーラーとハンダマの酢みそかけ 「ナーベーラー」とは「ヘチマ」のことです。沖縄ではヘチマを野菜として食べています。とてもおいしくて、若い人にもおとしよりにも人気があります。食堂などでただ「ヘチマ」といったら「ナーベーラーンブシー」をさしています。ヘチマはみそ炒め煮に料理することが多いのですが、にんじん食堂うずまさオリジナルでは「酢みそかけ」があります。葉の両面が赤と緑の二色という不思議なハンダマとあわせました。
沖縄のおいしい食材図鑑
 野菜 くだもの 豚肉 魚 海藻 豆腐 調味料 そのほか
第3章 泡盛を引き立てる沖縄の味
 ミミガーおさしみ シシカマブク ナンコツソーキ アシティビチ ドゥルワカシー ンムクジプットゥルー 小魚のマリネ パパヤのラフテー 
  
 ドゥルワカシー ターンム(田いも)とその葉柄であるムジ(ずいき)を主役に、豚肉・しいたけ・カステラかまぼこなどの材料を煮込みながらつぶして練っていく不思議な調理法の沖縄料理。煮込むとフツフツとまさに「泥が沸いている」ような感じで納得させられます。名前と見かけはいかにも…なのですが、味は重厚かつ深淵で、お祝いの席には欠かせない上等な料理です。
ンムクジプットゥルー 「ンム」は「いも」(さつまいも)で、「クジ」は「くず」のこと。すなわち「さつまいものデンプン」です。この「ンムクジ」(いもくず)と「水」でつくります。フライパンで加熱しながら、こねていきます。プルプルにゲル化して、いかにもプットゥルーになったらできあがり。
あとがき ニフェーデービル
にんじん食堂の沖縄・琉球料理は、ほかのお店で食べる料理とはかなり異なっています。それは伝統料理のよさを残しながら、くふうをこらし、一品一品の完成度を高めたばかりでなく、一汁多菜の組み合わせを熟慮したからです。色や形の美しさも重視しながら、健康に害のあるもの(食紅など)は排除しました。そして、だれでも作れる料理のレシピを考案してきました。料理はだれかの所有物ではありません。それぞれの時代に合わせて時間をかけて作られる、みんなの宝ものです。……ニフェーデービル。ありがとうございました。
さくいん


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沖縄ごはん